台湾バナナといえば、もともとわが国に輸入されていたバナナの代名詞のようなものでした。それとともに昭和40年代ぐらいまでバナナは高級品でした。明治36年に、都島金次郎という人が日本に初めて台湾バナナを持ち込んだといいます。
メインになったブランドは北蕉。
遠足など、特別な行事でないと食べることができないも の、といっても今の価格から見ると信じがたいほどですね。
バナナは熱帯植物のため、どこでもできるというわけではありません。台湾はバナナ商業生産の北限といわれているんですね。
台湾は亜熱帯に近い温暖な島です。バナナ栽培にはぎりぎりで適しているのです。
台湾バナナの現在の主流は仙人蕉です。ただ、最近はほとんどがフィリピンからの輸入で、店頭に出回っているフィリピンバナナに比べると価格も若干高めになっています。
1970年代後半に日本の商社がフィリピンバナナの大規模生産を開。
この時点での品質は台湾バナナを凌駕するものではありませんでしたが、輸送距離の短さにより、バナナの欠点といわれた品質劣化を最小限に抑えたために、以後はフィリピン産バナナが主力になりました。
台湾バナナの特徴は、大振りなフィリピンバナナに比べてこぶりで、果肉はもちもちというよりねっとりとしています。
では、お味は?
やはり味は濃厚です。
これは、フィリピ ンよりも気温は低いため、促成栽培でなくじっくり育てるためといわれています。時間も立派なコストということです。
牛肉でも同じようなことがいえますね。
ただ、昨今のフィリピンバナナも品種改良してもちもちタイプのバナナが出回り、大きくて値段が安いことも押されている原因のひとつではないかと思います。
台湾の現地では、時期によって色や形態が変わるといいます。
いわゆる冬バナナは冬蕉と呼び、春は3花竜仔蕉、初夏は黒皮春蕉というそうです。
前回も書きましたが、当時の人気映画で、道になっているバナナをもいで食べたら苦かったというシーンがあるほど、台湾といえばバナナというイメージが定着していました。