バナナの叩き売り(啖呵売)は伝統芸能、いわゆる大道芸としておなじみですが、その前半は台湾台中で生まれ育てられた三尺バナナが、収穫時になって唐丸籠に入れたれ、日本の門司港目指し基隆(キールン)港を船出する様子がうたわれています。
ひとまず、バナナの叩き売り(啖呵売)バナちゃん節の前半分をご紹介します。
うまれはタイワン・タイチュウの、阿里山麓の片田舎
ドジンの娘に見染められ、蝶よ花よと育てられ
ほんのりお色気ついたころ、国定忠治じゃないけれど
ひと房、ふた房、もぎ取られ、唐丸の籠に入れられて
阿里山麓をあとにして、ガタゴト列車にゆりゆられ
ついたところがキールン港、キールン港を船出して
キンパギンパの波超えて、海原遠い船のたび
難関辛苦のあかつきに、ようやく着いた門司港
門司は九州の大都会、ナカシの声も勇ましく
エンヤラ、ドッコイ掛声で、問屋のムロに入れられて
夏は氷で冷やされて、冬はタドンでうむされて
83度の高熱で、ほんのりお色気ついたころ
バナナ市場に売り出され、ひと房ナンボの叩き売り
さあさ、買うた、さあ、買うた、
わしのバナちゃん600円
歌はまだまだ続きます
こうやって、歌とともにだんだんバナナの値段が下がっていくのです。
え、バナナの叩き売りって、寅さんみたいなタンカバイだと思いましたか。
いえ、タンカバイ自体はあるんですよ。
ただ、これはもう、民謡や童謡のような伝統芸ですね。文化遺産ですね。
ところで、バナナって、いったいいつから農作物として栽培されるようになったんでしょう。
前回書いたように、紀元前8000年~3000年頃には、もう東南アジア地域で食べられていたとはいわれているんです。
その後、西アフリカからアメリカに伝わったそうです。
日本では、沖縄で若干とれますが、東京では見たことないですね。
青いバナナは食べられる?
ところで、1970年の「社長学ABC」という映画があるんですけど、例の森繁久弥さんが社長で、小林桂樹さん、総務部長が加藤大介さん、営業課長が藤岡 琢也さんで、視察旅行で台湾に行ったとき、藤岡琢也さんが道にあるバナナの木からもいで、あまりの苦さに吐き出し、「生涯バナナは食べません」というシー ンがあるのですね。
それは事実で、バナナというのは収穫したときの青いままでは食べられないので追熟させるんです。ですから、マーケットで売っているバナナも、一部が青いものってありますよね。
それが時間を置くとともに、皮が黄色くなり、さらにぽつぽつます。茶色の斑点「シュガースポット」です。それどころか、次第に全体的に茶色くなっていきま す。そのへんの微妙な時期をのがすと本当に腐ってしまうのですが、ぼつぼつが出始めた頃が、実はいちばん甘みが出て栄養成分も多い頃なんです。
バナナは免疫力を高めるなんていいますよね。あの免疫成分て、バナナの腐る寸前なんです。
バナナの選び方についても一言。
付け根がふにゃふにゃせず新鮮で、皮が黄色いものを選ぶことです。メロンじゃありませんが、それで少し待つんです。ただ置くと腐るので、バナナをつるすものを買ってきて、つるして保存するといいと思いますよ。
なお、バナちゃん節の後半はこちらです。
ぜひご覧ください。